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「アマゾンにあこがれた世代」
1月30日発売された、「アマゾン水中」
天野尚没後10周年という記念書籍です。
発売のともに、この日本のaquariumシーンでは
欠かすことのできない松坂實さんがこの世を去りました。
私はお会いしたことはないですが
日本のプレコのほとんどの名前を付けた偉大な方です。
あの昭和の時代、我々の先輩たちはいったい
どんな風に地球の裏側にロマンを感じていたのでしょう。
彼らに影響を与えたとされている
人物の中に「開高健」という小説家がいます。
開高健は、アマゾンを「人間の根源的な生と死が起きた場所」として描いた作家です。
彼の代表作『オーパ!』は、1978年にアマゾンを釣り旅記録をもとにした作品であり、
そこで彼は文明社会の枠を超えた根源的な生命の覚悟や、圧倒的な自然の力を目に当てます。
しかし、その一部であることを再認識する場であり、その未来については、
「文明の拡大とともに失われていく貴重な世界」という視点を持っていたと考えられます。
一方、天野尚は『ネイチャーアクアリウム』という概念を提唱し、
水槽の中に「小さな」を再現する自然なことを追求しました。
彼にとってアマゾンは、生態系の美しさと調和を象徴する場所であり、
水草レイアウトや魚の自然な生息環境を再現する上での理想的なモデルだったと言えます。
実際にアマゾンへ足を運び、その風景を水槽に落とし込みましたが、
同時にアマゾンの環境破壊にも危機感を抱いていました。
彼の作品や発言には、
自然の優先を守るための啓発的なメッセージが込められており、
「水槽の美学」に留まらず、環境意識を喚起する側面が強く感じられました。
松坂實もまた水生生物の生態を専門にしながら、
生物学者としてのアカデミックな観察に重点を置きながらも、
アマゾンの魚や環境を「知ること」の重要性が強調されており、
それは天野尚の「見ること」や開高健の「体験すること」とは異なるアプローチですが、
アマゾンの未来に対して問題意識を持っていた点で共通しています。
開高健、天野尚、松坂實、それぞれの視点は異なりますが、
共通しているのは
「アマゾンが純粋な資源ではなく、かけがえのない生命の世界である」という認識でしょう。
昭和の時代に駆け抜けた先人たちのバイタリティを
引継ぎ、アクアリウムショップとして考えさせられる。